2017年に読んだ本ベスト10
2017年は通勤時間の読書が捗り、目標の100冊読破を達成できました。目標達成記念に、読んだ本ベスト10を書いてみます。ビジネスデベロップメントとアプリ開発系が多め。
第10位「マンションは10年で買い替えなさい 人口減少時代の新・住宅すごろく」
マンションは10年で買い替えなさい 人口減少時代の新・住宅すごろく (朝日新書)
- 作者: 沖有人
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/12/13
- メディア: 新書
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- 自宅を資産を考え、資産価値が落ちにくい物件と期間を意識して購入する。
- 常に中古価格と賃料とローン残債を意識し、基本は10年で売る。
- 価値の下落しづらいのは広く高く駅近のタワーマンション
など、この本で自宅を資産としてみなすという視点を身につけることができた気がします。サイトでマンションの時価を公開していたりもしますが、サイトの使い勝手はいまいち。
第9位「はじめてのNode.js」
はじめてのNode.js -サーバーサイドJavaScriptでWebアプリを開発する-
- 作者: 松島浩道
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2013/03/13
- メディア: 単行本
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第8位「LIFE SHIFT」
- 作者: リンダグラットン,アンドリュースコット,池村千秋
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/10/21
- メディア: 単行本
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第7位「WebデベロッパーのためのReact開発入門 JavaScript UIライブラリの基本と活用」
WebデベロッパーのためのReact開発入門 JavaScript UIライブラリの基本と活用
- 作者: 柴田文彦
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2016/11/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第6位「フェイス・トゥ・フェイス・ブック」
フェイス・トゥ・フェイス・ブック -- クチコミ・マーケティングの効果を最大限に高める秘訣
- 作者: エド・ケラー,ブラッド・フェイ,澁谷覚,久保田進彦,須永努
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2016/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第5位「MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術」
- 作者: くらたまなぶ
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
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第4位「7つの習慣」
- 作者: スティーブン・R.コヴィー,Stephen R. Covey,ジェームススキナー,川西茂
- 出版社/メーカー: キングベアー出版
- 発売日: 1996/12/25
- メディア: 単行本
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第3位「顧客視点の企業戦略」
- 作者: 藤崎実,徳力基彦
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2017/03/01
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第2位「小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略」
- 作者: 竹田陽一,栢野克己
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2002/11/01
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第1位「アントレプレナーの教科書」
- 作者: スティーブン・G・ブランク,渡邊哲,堤孝志
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2009/05/09
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まとめ
10冊にまとめてみると、2017年は以下の3点を学んだと言えそうです。
- ユーザーと向き合うマーケティングがビジネスの成功因子だということ
- JavaScriptはサーバサイドもスマホアプリも作れる良いツールだということ
- 長期的な人生戦略が大切だということ
コモディティ化したサービスをムダに使うと次のビジネスが見えてくる:書評「フリー」
- 作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/11/21
- メディア: ハードカバー
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YouTubeやクックパッドなどのウェブサービス、フリーペーパー、無料体験コーナー、スーパーの試食コーナーなど、無料で受けられるサービスは多数あります。なぜ無料でサービスが提供できるのか、その背景にあるものは何なのか、という点を掘り下げてまとめた本。
インターネットが普及してからは特に、無料で受けられるサービスがあまりにも多く、あまりにも当たり前になってしまいました。しかし、無料サービスをマネタイズすることはとても難しいことです。フリーミアムのビジネスモデルと成り立ちを理解することは、これからのビジネスモデルを考えるにあたり必須な気もします。
本書では、潤沢に供給されるものの価値は下落し、最終的には無料になると述べています。
人々が欲するものをタダであげて、彼らがどうしても必要とするときにだけ有料で売るビジネスモデルをつくるのだ。
とのこと。無料サービスで集客して有償サービスにシフトさせるとか、広告モデルとか、フリーミアムのビジネスモデルは成功が困難であることが多いですが、コモディティ化するものは対価をとらず、希少なものでフィーを得るという考え方は納得できます。
その上で、本書ではコモディティ化による価格の低下を前提に、その活用の仕方がカギとなるとも述べています。
今日の革命者とは、新たに潤沢になったものに着目して、それをどのように浪費すればいいかを考えつく人なのだ。
例えばムーアの法則により半導体の性能は年々向上し、CPU性能はある程度ムダに使ってもコスト的に問題ないものとなりました。開発手法で言えば富豪的プログラミングが可能となったわけです。 同じように、情報や人件費など、コモディティ化し、価格がゼロに近づいたものを思い切り使うことでそれまでできなかったことができるようになります。これまでの市場を理解している人であればあるほど、かつて希少で高価だったものは大切に、節約して使ってしまう。このようなものを意図的に浪費することで、事業機会が生まれるというわけです。 コモディティ化するサービスについては、多くの人にメンタルブロックがあるとも言えそうです。
本書ではこうまとめています。
フリーと競争するには、潤沢なものを素通りしてその近くで希少なものを見つけることだ。ソフトウェアが無料なら、サポートを売る。(中略)もしも自分のスキルがソフトウェアにとって代わられたことでコモディティ化したならば、まだコモディティ化されていない上流にのぼって行って、人間が直接かかわる必要のある、より複雑な問題解決に挑めばいい。
無料に見えるサービスはコモディティ化しているものであり、思い切り浪費することで何ができるのか、または無料の周辺に「希少なもの」が眠っている可能性がないか、などと思いを巡らせてみると新たなビジネスチャンスが見えてきそうです。
多くの気づきが得られた良書でした。
論理的な視野狭窄とは:書評「精神のけもの道」
- 作者: 春日武彦,吉野朔実
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2012/06
- メディア: 文庫
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おかしな人は沢山いるけれど彼らの中ではそれはおかしなことではない、というテーマについて現役精神科医が語る、人の正気と狂気の境目のようなエッセイ。
日常生活において、この人の行動原理や価値判断は理解できないな、ということはたまにあります。特に親戚縁者など親しい関係の人の行動などは、細かいことでも気になるものです。 多くの人が「理解できない」と感じる行動は奇行といえるけども、そこまでは言えなくても首を傾げたくなる行動をとる人は多い。
例えば、徹底的に部屋を綺麗にしないと気がすまない、ジンクスとして毎回何かをしないと気がすまない、壁な顔で嘘をつく、会うたびに毎回同じ話を繰り返すといったあたりです。
本書では、人間が焦りから視野狭窄に陥り過剰な行動をとってしまう心の動きについて、軽妙な語り口で事例が挙げられています。
あとがき対談によると、「精神のけもの道」とは
人間というのはどんなに頭が病気でも変なやつでも、基本的に論理的なのだと思っています。といっても、本人にとって論理的なだけで、ぜんぜん現実には通用しないんです。(中略)無意味に過剰なだけ。そんなとき、人は、「精神のけもの道」を歩いて行くという理解で書いていきました。
という定義なのだとか。興味深いです。
人のこだわりや癖がどこに起因するのか、ということに思いを巡らせると、もっと人に優しくできるようになるかもしれません。そんなことを思わせてくれた一冊。
伝説の漫画家、吉野朔実のエッセイ漫画も収録されておりお得な本でした。
スクラムの原典:書評「リーンソフトウェア開発」
リーンソフトウエア開発?アジャイル開発を実践する22の方法?
- 作者: メアリー・ポッペンディーク,トム・ポッペンディーク,平鍋健児,高嶋優子,佐野建樹
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2004/07/23
- メディア: 単行本
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2003年に書かれたアジャイル開発の指南本。 伝統的なウォータフォール開発からアジャイル開発に移行する際の要諦が詰め込まれています。内容はどれも現在に通用するものであり、14年も前に書かれたとは思えません。本書に書かれていることの多くはその後スクラム開発として体系化されたと言えるでしょう。いわば、スクラム開発の「原典」のような本です。
トヨタのかんばん方式がなぜ優れているのか、短いイテレーション(スプリント)はなぜ必要なのかなど、開発プロセスを変革する必要性が語られており納得感が得られます。
実践してみたいメソッドが満載。
- 七つのムダ一つひとつについて議論する
- 未完成の作業のムダ
- 余分なプロセスのムダ
- 余分な機能のムダ
- タスク切り替えのムダ
- 待ちのムダ
- 移動のムダ
- 欠陥のムダ
というチーム内アンケートはやってみたくなるし
ほとんどの改善プログラムでは、マネジャーが作業者に仕事のしかたを教える。ワークアウトでは、それが逆になっている。つまり、作業者がマネジャーに仕事のさせ方を教えるのだ。
というマネジメント改善プロセスの話も面白い。
以下のような部分も、とても頷けます。
- スケジュールによって作業を押し進める(プッシュ)のではなく、顧客のニーズが作業を引っ張る(プルする)ことだ。
- まずサブシステムのインターフェース(結合部分)のみを開発し、うまく機能したら中身を作る
- チームマネジメントはボランティアに接するように人に接すれば良い
- モチベーションをくじかせる、最も簡単な方法の一つは「ゼロ欠陥精神」だ
- 変更承認プロセスを気にするのではなく、変更に強い設計プラクティスを気にかける
- 開発チームの各メンバーに、チームの専門分野が「浅い」分野を書いてもらう
従来型の製造のプロセスがなぜ変革を迫られたのか、スクラム開発の本質とは何なのかを考えさせられる一冊でした。 手法だけでなく、手法が産まれた背景を理解することも大切ですね